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2017年11月21日火曜日

“プロヴァンスの風景(第四楽章)” ポール・モーリス

曲名:プロヴァンスの風景(第四楽章アリスカンの魂は嘆きて)
作曲者:ポール・モーリス
Tableaux de Provence(4):MAURICE, Paule

第1,2,3楽章から2年経っての挑戦。
春から練習して2回の本番をやりました。
2年間空いたのは "アリスカンには作曲者の幼い子どもが葬られてれる" っていう話を聞いて「そんな辛い曲練習できない…」って思ったから。
でも今をときめく上野耕平さんの演奏を聴いて方針転換。
上野さんの演奏は、暗い/哀しい/辛いっていうより不思議な現代曲に聴こえた。
で、「カッコイイ!やってみたい!」って。
誰の演奏を聴くかって大事なんだなあ・・・
これ聴かなかったらやってなかったかもしれない。

練習の中で思ったこと。
ホンマに作曲者の家族のお墓があるの??
アリスカンって古代からの墓地。世界遺産。そんなところに20世紀の人のお墓??

アリスカンのエピソードを知って写真を観るととても厳かな気持ちになる。
そして私が見つけた写真はどれも南フランスの陽光がとても明るい。
なんて不思議な気持ち。
日本でいうと…関ヶ原みたい?
広くて明るい野原だけどたくさんの兵士が斃れた昔々の激戦地…ちょっと怖い…

練習終盤ではイタリア人奏者にレッスンしてもらう機会もありました。
通して吹いてくれはったことも嬉しかった。
一番刺激的に感じたことはヨ-ロッパの人に英語で教えてもらえたっていうこと。
文化背景が違う人、英語での表現/単語での説明がとても新鮮でそれまでとは違った感覚や思いが出てくる。

外国の曲を外国の人に外国語で教わったあと家で考えてみた。
私は日本人。どうする?
やっぱり "関ヶ原" ?

そしてこの曲の音は…幽玄だ。
音楽の言葉で "ソノリテ"ってあるけど、"ソノリテ" の意味がずっと分からなかった。
だからどんな音を聴いても「ああ、美しいソノリテだわ」なんていう気持ちにはならない。
でも"幽玄"っていう言葉は…使える!
幽玄ってナンダ?
いや、言葉ではうまく説明できないんだけどまったくピンとこない"ソノリテ"よりずっと分かる。
ああ、私は日本人なんだ!
沁みついた感覚、無意識の文化/価値観とはこういうものか!

こうして一つ一つの曲を通して得た経験や感覚が積み重なっていくのネ。
嬉しいことです。

1年前のサンジュレーとこの曲はスッと自分に馴染んでみんなからの評判もいい曲でした。
サンジュレーのときは先生の前で通した1回目で「いいんじゃないですか。楽しそう。言うことないよ」って。
この第四楽章を先生にみてもらったのは3回くらいだったか…
最後は「うん、いい。熱演ですね」

分かったことは…自分にあった曲があるっていうことか。
得意な感じ、好きだと思う曲、ぴったり当てはまるととても良くなるんだっていうことが分かった。
いい感じで出来ると褒めてもらえる。そして自信になる。

本番も皆さん褒めてくれはった。
先生が肯定してくれはったことで自信がもてたのかも。
意識してなくてもこの演奏で大丈夫なんだっていう気持ちでやったものを褒めてもらえると本当に嬉しい。
大丈夫なんだっていう自信が大きな確信になる。

調子に乗ってまたコンクールに出ようかと思い始めました。
今度は野心を持って。

*この曲の邦題 "アリスカンの魂のため息" じゃダメかな?
"アリスカンの魂は嘆きて" は意訳かな?
直訳だと "ため息" じゃないかと思うんだけど。
嘆くのとため息は違うと思うねんけどなあ。

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なんだかとてもとても仕事が忙しくて7時に出勤。
お昼休みもなし。
そうしないと夕方早くに終われない。
夕方はとっとと帰って楽器の練習。
夜は早く寝ないと次の日、起きられない。
何の時間がなくなったかというと、家でパソコン開くのとテレビを観る時間がなくなりました。
ネットやテレビの時間って無駄のようにも思えるけど、なくなってみるとこれらはぼんやりリラックスする時間でもあったっていうことに気がついたよ。